2008年05月17日

『五行歌の事典』 鑑賞交換日記 (その42)

《 鑑賞作品・その42 》
       
   
  雨の中                 
  じっと待ってると
  かさの下にも
  雨が
  降るの
                
           佐藤朝子


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 ◇作品の出典

    草壁焔太編 『五行歌の事典』(東京堂出版)

http://www.tokyodoshuppan.com/cgi-bin/menu.cgi?ISBN=4-490-10579-7

 ◇五行歌の会・公式ホームページ

 http://5gyohka.com/

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この記事へのコメント
 待ち合わせの場所は公園の噴水前であった。朝から、はっきりしない
天気ではあったが、お昼前からポツリポツリと降り始めた雨がとうとう
本降りになってしまった。冷たい雨である。

 約束の時間をもう30分以上も過ぎているというのに、彼はまだ現れ
ない。誰もいない公園の向こうには、黒々とした森が雨にけぶっている。
 今なら、ケイタイで連絡を取り合うこともできるのだろうが、当時、そん
なものはない。

「あの人に何か?」

 不安ばかりが脳裏をよぎる。傘の先からポタポタと落ちる雫の音が
一段と大きくなってきたようだ。

 そして、彼女の胸の中も、雫の音でいっぱいになっていった。

      ■

 この作品に接したとき、そのリズム感と情感の豊かさに、思わず、自分
が雨の中で人を待っているような錯覚に陥ってしまった。

 「じっと待ってると」「かさの下にも」「雨が/降るの」、どの言葉をとって
みても、詩的に磨かれていて素晴らしい。雨の中、一人佇んでいる女性
の姿が目に浮かぶようだ。
Posted by 玉井たけし at 2008年05月23日 15:10
 
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『五行歌の事典』 鑑賞交換日記 (その42)
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