2008年05月05日

『五行歌の事典』 鑑賞交換日記 (その40)

《 鑑賞作品・その40 》
   
  丁寧に                 
  受話器を置く
  きみの
  手の中に
  収まってゆくイメージ

              工藤真弓 


                
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 ◇作品の出典

    草壁焔太編 『五行歌の事典』(東京堂出版)

http://www.tokyodoshuppan.com/cgi-bin/menu.cgi?ISBN=4-490-10579-7

 ◇五行歌の会・公式ホームページ

 http://5gyohka.com/

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この記事へのコメント
 この気持ち、よく分かります。かつて、会社のお客さま相談の仕事を
していた頃、電話応対のインストラクターの先生によく言われたのが、
「お客さまが電話を切られたことを確認してから受話器を置くこと」と
「切るときは、お客さまに頭を下げるようにして、お礼を申しあげること」
のふたつでした。

 そのなかで、見えないお客さまに対して、お辞儀をするということは
一見無意味なことのように思われるかもしれませんが、そうではあり
ません。お辞儀をするようにして丁寧に別れのご挨拶を申しあげると
いうことが、実は、真心のこもった電話応対につながっていくのです。

 前掲の歌は、そのようなビジネスの場ではなく、作者が彼と電話で
話をしたあとに味わった「充実感」とか「感謝の気持ち」といったような
ものを、受話器をそ~っと置くという何気ない所作によって巧みに表し
たものです。

 つまり、今まで握りしめていた受話器を自分に見立てて、「きみの/
手の中に/収まってゆくイメージ」で・・。この末尾三句と初句の「丁
寧に」とが微妙に響き合って、静謐で感謝の念に満ちた雰囲気をか
もし出しています。

 それと、結句を「・・・イメージ」と体言止めにしたことも物静かな雰囲
気の描写に一役買っているような気がします。
Posted by 玉井たけし at 2008年05月13日 16:33
 
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